安土桃山時代に生まれた美術の特徴とは?ジャンルごとに紹介します!

安土桃山時代

安土桃山時代は、織田信長や豊臣秀吉などの戦国武将が活躍した時代。

どうしても戦国武将たちの戦いに目が行きがちですが、実は新しい美術が生まれた時代でもあります。

そこで、本記事では【安土桃山時代に生まれた新しい美術の特徴】についてまとめました。

城、絵画などジャンルごとにわかりやすく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

新しい美術が誕生した安土桃山時代

安土桃山時代では、ダイナミックで華やかな安土桃山文化が生まれました。

コト史
コト史

織田信長は滋賀県の琵琶湖に安土城を、豊臣秀吉は京都に伏見城(別名:桃山城)を建てます。

それぞれの城の名前から安土桃山時代とつけられ、その時代の文化を安土桃山文化と呼ぶようになりました。

ちなみに、安土桃山文化は秀吉の時代が中心だったため、伏見城(別名:桃山城)の名前から桃山文化とも呼びます。

安土桃山文化は戦国大名と商人が中心につくられた、活気あふれる華やかな文化です。

そのため、安土桃山時代には豪快できらびやかな美術が多く生まれました。

安土桃山時代の美術とその特徴

安土桃山時代の美術は、それまでの中世社会と異なる特徴を持っています。

  • 仏教の影響がうすれた
  • どんなものでも積極的に取り入れた
  • 南蛮人(スペイン人・ポルトガル人)が伝えたヨーロッパ文化の影響を受けた

特に、建築や絵画などが上記のような特徴を強く表しています。

それでは、安土桃山時代の美術について見ていきましょう。

建築

安土桃山時代の城は見た目も内装も派手な、これまでにない斬新なデザインが特徴です。

コト子
コト子

この時代の城は金箔黒漆塗くろうるしぬなどが多く使われています。

城の内部には、室町時代の後期に誕生した書院造しょいんづくりが取り入れられました。

コト史
コト史

書院造とは、室町時代後期に成立した武家住宅の建築様式です。

障子などがあって、現代の家とつくりが似ています。

造園も盛んになり、豊臣秀吉は城の庭園を自分で設計し、そこでお茶会を楽しんでいたとか。

安土桃山時代の建築物について、一覧にまとめました。

安土城 織田信長が滋賀県の琵琶湖のほとりに築城。赤い瓦や金箔。本能寺の変のあと焼失。
大阪城 豊臣秀吉が西山本願寺の跡地に築城。壮大な外観。大阪の陣で焼失後、復興。
姫路城 池田輝政いけだてるまさの居城として築城。大小の天守が連なっている。
伏見城(桃山城) 豊臣秀吉の居城として築城。全体を漆で塗った華やかな城。
犬山城 織田信長の叔父・信康が築城。日本最古の国宝天守。
松本城 城の外観は黒と白で美しく、内部は丈夫なたくさんの柱で作られている。
二条城 徳川家康が造営。大広間には、派手な障子や襖が使われている。
西本願寺書院にしほんがんじしょいん ダイナミックで華やかな書院造の建築物。
醍醐寺三宝院だいごじさんぽういん 豊臣秀吉によって再興された寺院。広間や庭園が特徴的。
大徳寺唐門だいとくじからもん 門の彫刻や色あいなどは安土桃山文化の華やかな特徴を表している。
コト史
コト史

安土桃山時代の城は現在も見学できる場所があるので、気になったらぜひ足を運んでみてくださいね。

絵画

安土桃山時代では、室内を装飾する絵画が盛んになります。

狩野永徳かのうえいとく狩野山楽かのうさんらくといった狩野派の画家が、濃絵」だみえと呼ばれる絵画を屏風びょうぶやふすまに描きました。

コト子
コト子

他にも風俗画や水墨画などがあり、それらは主に人々の暮らしを表現していました。

安土桃山時代の絵画について、一覧にまとめました。

唐獅子図屏風からじしずびょうぶ 狩野永徳かのうえいとく筆。障壁画。6面の襖絵。2頭の唐獅子が歩く姿が描かれている。
洛中洛外図屏風らくちゅうらくがいずびょうぶ 狩野永徳かのうえいとく筆。障壁画。寺や貴族の家、街並みが鮮やかに描かれている。
牡丹図ぼたんず 狩野山楽かのうさんらく筆。障壁画。金箔の下地に牡丹の花が大きく描かれている。
職人尽図屏風しょくにんづくしずびょうぶ 狩野吉信かのうよしのぶ筆。風俗画。さまざまな職人の様子が描かれている。
花下遊楽図屏風かかゆうらくずびょうぶ 狩野長信かのうながのぶ筆。風俗画。花が咲く木の下で人々が踊っている様子が描かれている。
高雄観楓図屏風たかおかんぷうずびょうぶ 狩野秀頼かのうひでより筆。風俗画。秋冬の景色を描き、紅葉狩りを楽しむ様子が描かれている。
松林図屏風しょうりんずびょうぶ 長谷川等伯はせがわとうはく筆。水墨画。朝霧が立ちこめる中の松林が描かれている。
山水図屏風さんすいずびょうぶ 海北友松かいほうゆうしょう筆。水墨画。町を囲む城壁や岩山が描かれている。
コト史
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安土桃山時代には、多くの素晴らしい画家が誕生したのです。

芸能・工芸

芸能では、三味線を伴奏にユニークなリズムで物語を披露する浄瑠璃じょうるりが盛んになりました。

また、出雲いずも阿国おくに(島根県の出雲大社の巫女みこ)が、京都でかぶきおどりをはじめ、民衆の人気を集めたのです。

工芸品では、秋草蒔絵歌書箪笥あきくさまきえこうだんすという小物入れが誕生し、秀吉の妻:北政所きたのまんどころが愛用したと言われています。

安土桃山時代の芸能や工芸について、一覧にまとめました。

阿国歌舞伎絵詞おくにかぶきえことば 出雲大社の巫女みこである阿国おくにが歌舞伎を踊っている様子が描かれている。
人形浄瑠璃にんぎょうじょうるり 三味線を伴奏に人形を操った物語。
秋草蒔絵歌書箪笥あきくさまきえこうだんす お香の原料となる香木こうぼくなどを入れる上等な工芸品。菊の紋や秋草が描かれている。
コト史
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安土桃山時代の芸能や工芸にも、華やかな美術が使われていたのです。

西洋の影響を受けた南蛮文化の誕生

西洋のスペインやポルトガルの宣教師せんきょうしは、さまざまな新しい文化を伝えました。

  • 活版印刷術かっぱんいんさつじゅつ
  • 西洋画の技法
  • 医学
  • 天文学
  • 航海術

他にも、日本は西洋の国々との貿易で眼鏡や時計、パンなどの存在を初めて知ります。

コト子
コト子

日本と西洋(スペイン・ポルトガル・オランダ)の貿易を「南蛮貿易なんばんぼうえき」といいます。

西洋の新しいものを率先して取り入れた文化は南蛮文化なんばんぶんかと呼ばれ、安土桃山時代の美術はその影響を強く受けているのです。


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まとめ

今回は【安土桃山時代に生まれた新しい美術の特徴】について解説しました。

安土桃山時代の美術は古い価値観にとらわれない、活気あふれる華やかな特徴があります。

今回ご紹介した建築物や絵画などで気になるものがあったら、ぜひ資料館や博物館に足を運んでみてください。

実際の資料を見ることで、安土桃山時代の美術をより理解し、楽しめること間違いなしです。

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